会長挨拶

第19回日本カプセル内視鏡学会学術集会 会長
日本医科大学千葉北総病院消化器内科 病院教授
藤森 俊二

 第19回カプセル内視鏡学会学術集会会長を拝命しました、日本医科大学千葉北総病院の藤森俊二です。2008年10月に第1回日本カプセル内視鏡研究会総会を当大学の坂本長逸名誉教授が主催され、18年後に再び当大学が主催できることを光栄に思うとともに大変身が引き締まる思いです。この場を借りて関係者の皆様方に感謝申し上げます。
 私は2003年に千葉北総病院から千駄木の附属病院に異動後、坂本先生にカプセル内視鏡の研究を要望され、開発間もないカプセル内視鏡の世界に入りました。画像65000枚を読影すると聞いて恐れていましたが、実際は動画のように読影できて安堵しました。カプセル内視鏡は次々と小腸の出血、潰瘍や腫瘍などを撮影し、驚きの連続でした。山本博徳先生が開発されたダブルバルーン小腸鏡で確認・治療ができ、小腸診療に革新が起こるのを目の当たりにしました。私は小腸に関しては、原因不明消化管出血と非ステロイド性抗炎症薬による小腸潰瘍の研究を主としていましたが、カプセル内視鏡は自然な状態で消化管内を撮影できることから、消化管内での食物や薬剤の状況を撮影することにも挑戦しました。カプセル内視鏡にはまだ多くの可能性があると考えています。
 カプセル内視鏡学会学術集会は最終日の2月22日に開催されます。日本消化管学会との共催セッションは前日と当学会中に各1セッションが予定され、GI Weekとしての関連が徐々に深まっていきます。小腸・大腸カプセル内視鏡を利用した様々な疾患の対処法、施行方法や読影法・前処置・教育法の工夫、そして、カプセル内視鏡が捉えた希少・教育的画像などについて幅広い発表と議論を期待しています。また、カプセル内視鏡ガイドラインの委員長をされている東京科学大学の大塚和朗教授に、ガイドラインに関する特別講演をお願いしています。ガイドラインに関して深く学べる機会になると思います。
 学会のテーマは『温故創新』とさせていただきました。温故創新は温故知新のオマージュで、“古きを訪ねて新しきを知る”だけではなく、新しく創る意味が込められています。疫学研究の創成に携わった重松逸造先生の造語と言われ、2007年に福田内閣総理大臣が訪中の際に使用されたそうです。今回の学会でも様々な知識の集積をもとに、新しい試みの発表を期待するとともに、発表を聞いて新しいことを思いついていただければ幸いです。