会長挨拶

第21回日本消化管学会教育講演会
自治医科大学内科学講座 主任教授
山本 博徳

 この度第21回日本消化管学会教育講演会の会長を拝命いたしました自治医科大学内科学講座消化器内科学部門の山本博徳です。GI Week 2024の構成学会のひとつである日本消化管学会教育講演会会長を拝命いたしましたことを大変光栄に感じております。GI Week 2024が沖縄で開催されるにあたり、本講演会も沖縄で受講していただけるようにと2024年2月11日(日)に現地沖縄コンベンションセンターとオンラインのハイブリッド開催とさせていただきます。またオンデマンド配信も予定しております。
 今回のテーマは、“消化管診療の基本と最新情報”といたしました。若い先生方の教育という観点から食道から大腸まで消化管診療の基本から日進月歩の医療の最新情報まで含んだ、ためになる講演をエネルギー溢れる比較的若手の先生方にお願いしました。
 食道の扁平上皮癌や胃癌は減少傾向にありますが、食道ではバレット腺癌やGERDが問題となってきています。GERDの診療においてはPPIを中心とした薬物治療のみでなく、内視鏡的逆流防止粘膜切除術が保険適応となっており、その使い分けや具体的な注意点、コツなどをご講演いただきます。胃十二指腸に関しては胃肥満手術に関しての最新の知見と最近遭遇する機会が増えていた時にその診療に苦慮する表在性非乳頭部十二指腸腫瘍(superficial non-ampullary duodenal epithelial tumor : SNADET)に関してのご講演をいただきます。小腸領域では、バルーン内視鏡などの深部小腸内視鏡の普及によって診療に変革がもたらされているクローン病の小腸病変の評価、狭窄に対するバルーン拡張術およびPeutz-Jeghers症候群の小腸ポリープに対する内視鏡的治療戦略などについてランチョンセミナーとして二人の先生にご講演いただきます。
 大腸疾患に関しては大腸ポリープの診断・治療に関して特に最近話題になっている鋸歯状病変を中心とした大腸ポリープの病理診断に関する講演と、日常臨床で多く用いられるようになってきた比較的新しい内視鏡治療手技としてcold snare polypectomy及びunderwater EMRについての講演をご準備させていただきました。
また、全消化管横断的に行われるようになった日本発の確実性の高い内視鏡的切除技術であるESDに関してその基本手技から応用、さらには困難例克服に関する講演をお願いしています。
最後に以前から変わらず臨床的に遭遇する機会の多い問題として消化管出血を取り上げ、上部消化管と下部消化管に分けてそのアプローチの基本から最新情報を講演していただく予定です。
 2019年の暮れから始まった新型コロナウイルス感染により、生活様式や学術集会のあり方・開催方式に大きく制限が続いてきました。今回は4年の経過でようやくコロナ禍から回復して沖縄に集まっての学会を開くことができるものと考えております。とはいえ、この間の経験からWeb形式での参加のメリットも十分経験しました。その両方のメリットを活かすべく今回の教育講演会はハイブリッドで開催させていただきます。GI Week 2024で開催される他の学術集会とともに準備を進め、日本消化管学会の発展の一助となるべく、意義ある教育講演会としたいと考えております。役員・代議員の先生かたをはじめ会員の先生方のご協力のほどよろしくお願いいたします。皆様のご参加を心からお待ち申し上げます。