会長挨拶

第51回日本潰瘍学会会長
旭川医科大学 内科学講座 病態代謝・消化器・血液腫瘍制御内科学分野 教授
奧村 利勝

 この度第51回日本潰瘍学会を担当させていただくことになりました旭川医科大学 内科学講座の奧村利勝でございます。伝統ある本学会を担当させていただき大変光栄に存じます。本学術集会は2024年2月10日(土曜日)11日(日曜日)にGI week 2024に参加する形での開催になります。本学会は私にとって非常に思い入れの深い学会であり、自分が初めて演題を発表してから35年が経ちました。本教室同門の担当は第20回(1992年)(並木正義教授)、第44回(2016年)(原田一道先生)が旭川市で主催され、今回3回目の任をいただきました。樋口前理事長、内藤理事長はじめ諸先生の御高配に感謝いたします。
 前回の第50回日本潰瘍学会ではこれまで半世紀の本学会の歴史が披露され、いかに本学会が先人の情熱によって発展してきたかを再確認いたしました。精鋭が作り上げたこの学会は、基礎臨床研究者が一同に会しての奇譚のない学問の場という特徴があります。本学会では、更にその姿勢を強調するため、世界に誇る医学研究者である柳沢正史教授(筑波大学)に特別講演をお願いいたしました。柳沢教授はエンドセリンとオレキシンを発見された偉業と睡眠研究に新たな道筋を作られたことであまりにも有名です。講演内容は勿論のこと、研究に対する姿勢や情熱など、多くの会員にとって勉強になる機会になるものと思います。実は何より私自身が柳沢教授のご講演を直接拝聴することを最も楽しみにしております。
 私が本学会に参加し始めた1988年には、まだピロリ菌の存在すら報告なく、消化性潰瘍の病態は天秤説とストレスで語られていました。その後ピロリ無くして潰瘍はないと考えられるようになってきましたが、果たして本当にストレスでできる潰瘍はないのか、この命題を本学会のシンポジウムでは取り上げました。また、消化管と他臓器相関、 leaky gutなど、 基礎と臨床が一体になって取り組むべきテーマを主題に設定いたしました。勿論、従来通りの消化管疾患の基礎臨床に関わるフィールドでの一般演題も募集いたします。今回は第51回ということで、51はあのイチローの背番号であり、皆で潰瘍研究のイチローを目指したいとの願いを込めて、「目指せ潰瘍学のイチロー」とテーマを決めさせていただきました。皆様には是非とも、多くの演題を登録いただき、学問と沖縄リゾートを満喫しながら、本学術集会を盛り上げていただけますようにお願いいたします。

令和5年3月