会長挨拶第32回日本ヘリコバクター学会学術集会開催にあたって
第32回日本ヘリコバクター学会学術集会 会長
鈴木 秀和
東海大学医学部内科学系消化器内科学 教授
このたび、第32回日本ヘリコバクター学会学術集会を、2026年7月3日(金)から5日(日)まで、神奈川県箱根町・湯本富士屋ホテルにて開催させていただく運びとなりました。伝統ある本学会の学術集会を主宰できますことを大変光栄に存じるとともに、その重責に身の引き締まる思いでございます。
本学会は、1995年に発足した日本消化器ヘリコバクター・ピロリ研究会を母体とし、Helicobacter pylori感染症の研究・診療・教育において世界を牽引してまいりました。除菌治療の確立と普及により胃がん死亡者数は減少へと転じ、学会の活動は社会的にも大きな貢献を果たしてきました。一方で、除菌後胃がんや未感染胃がんの増加、抗菌薬耐性の拡大、さらには胃内共生菌や腸内細菌叢との相互作用の解明など、新たな研究課題も次々に浮上しております。
今回の学術集会のテーマは、「消化管エコシステムの最適化による疾患制御の最前線」です。H. pylori研究を基盤としつつ、消化管全体を小宇宙のような「エコシステム」と捉え、その複雑な相互作用を理解し制御することによって、新たな診断・治療戦略を切り拓くことを目指します。AI、次世代シークエンス、分子疫学といった先端技術を取り入れ、基礎と臨床の融合を推進することも大きな柱といたします。
さらに本会は、第22回日韓ヘリコバクターシンポジウム、第12回Gut Microbiota研究会、第35回消化器疾患病態治療研究会との合同開催となります。Helicobacter研究、腸内細菌学、消化器病態治療の分野に携わる基礎研究者や臨床医が一堂に会し、国際的かつ学際的な知の融合が実現することで、より広い視点からの議論が展開されるものと確信しております。
会場の湯本富士屋ホテルは、箱根湯本駅から徒歩3分という利便性を備えながらも、温泉と豊かな自然に囲まれた静かな環境にあります。この地に集い、日常を離れてじっくりと議論を重ねることで、これまでにない発想や新たな共同研究の芽が育まれることを大いに期待しております。
本学術集会が、若手からベテランまで世代を超えた交流の場となり、次代を担う研究と臨床の発展につながる契機となりますことを願っております。2026年7月、箱根湯本にて皆様と熱い議論を交わせますことを、心より楽しみにしております。
