会長挨拶

第54回日本潰瘍学会 会長
順天堂大学医学部消化器内科
永原 章仁

 このたび、第54回日本潰瘍学会を開催させていただくにあたり、ご挨拶申し上げます。
 本学術集会のテーマは「與時俱進(よじぐしん)」といたしました。時代とともに歩み、時代とともに進化するという意味を持つ言葉です。潰瘍学は、ヘリコバクター・ピロリ感染症の克服、強力な酸分泌抑制療法の進歩、さらには内視鏡診断・治療技術の飛躍的発展により、大きな変貌を遂げてきました。一方で、高齢化社会の進展、抗血栓療法の普及、炎症性腸疾患(IBD)をはじめとする慢性炎症性疾患の増加など、私たちを取り巻く医療環境は今なお大きく変化し続けています。
 潰瘍の病態は、単なる局所粘膜障害にとどまるものではありません。免疫応答、腸内細菌叢、上皮再生機構、微小循環、消化管運動など、複数の要因が相互に影響し合う総合的な病態として捉える必要があります。本学術集会では、日本潰瘍学会が半世紀にわたり培ってきた基礎研究の蓄積を礎としつつ、明日の患者を救う臨床研究、そして今まさに目の前の患者に向き合う症例報告まで、幅広い演題を募集いたします。基礎と臨床が真に融合する場として、活発で実りある討論が展開されることを期待しております。
 また、領域横断的な連携が不可欠な時代にあって、潰瘍学が示す学際的アプローチはますます重要性を増しています。本集会での成果がGI Week 2027を通じて国際的に発信され、日本発の潰瘍学の価値が広く共有される機会となることを願っております。
 学術奨励賞につきましても、若手研究者が発表しやすいよう日程を工夫し、新たな才能が羽ばたく場を創出したいと考えております。潰瘍学は決して完成された学問ではなく、常に問いを生み、進化し続ける領域です。「與時俱進」の精神のもと、ご参加の先生方とともに未来の潰瘍学を切り拓いてまいりたいと存じます。
 多くの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。