会長挨拶

第49回日本潰瘍学会会長
城西国際大学薬学部薬理学研究室
堀江 俊治

 この度伝統ある日本潰瘍学会の第49回大会を担当させていただくことになりました城西国際大学薬学部薬理学研究室の堀江俊治と申します。千葉大学薬学部 渡辺和夫研究室の門を叩いて以来、本大会で30年間ほど潰瘍学を学ばせていただいたことになります。この学会における年々の発展に敬意を表するところです。その第49回大会を受け持たせていただいたことはまことに光栄に存じます。三輪洋人教授の大会に引き続き、今回もGI Weekに参加する形で開催され、2022年2月12,13日の両日に開催させていただくこととなりました。よろしくお願い申し上げます。
 第49回大会のテーマを「楽しい潰瘍研究」とさせていただきました。これは第41回日本潰瘍学会を記念して刊行された「潰瘍学―過去、現在、未来―」(樋口和秀編)に掲載されている「私の潰瘍学 -今なお楽しい消化管の潰瘍研究-」(樋口和秀著)の論文タイトルからいただいたものです。昨年度の日本潰瘍学会で岡部進 京都薬科大学名誉教授が「潰瘍研究には“楽しい”という枕詞が付きます。潰瘍学は本当に楽しいものです。」とこの論文を評されたご講演を感動をもって伺い、これを第49回大会のテーマにさせていただこうと思い付きました。このような想いから、第49回大会でも、潰瘍学に今なお隠されている未知なる謎を解き明かし、楽しく研究成果を発表し、伝統の熱い議論をしていただければなぁ・・・と切に願っております。
 本学会は伝統的に基礎と臨床、企業とアカデミアなどバックグラウンドの異なる研究者が一堂に会して、潰瘍学を多角的に解析していく学際的な学会であります。ポストピロリ時代の中で消化管の潰瘍学には、今なお楽しい研究テーマが隠されていると信じます。臨床的、マクロの研究だけではなく、粘膜バリア破壊や粘膜透過性亢進、粘膜微細炎症、炎症性細胞の動的な遊走・分化などのミクロの視点から粘膜障害や潰瘍の発生機序の解明へアプローチしていくことも大切なテーマだと存じます。今回も、そのような種々の基礎と臨床のシンポジウムや一般講演等、様々なプログラムを企画しておりまして研究成果の発表と議論が繰り広げられるのではないかと期待をしております。
 GI Weekの構成学会として独自の立ち位置を発揮するべく、先達が築かれた潰瘍学の発見を基に、本学会の強みである潰瘍学への基礎的なアプローチを進め、臨床に還元できるような展開ができればと存じます。久しぶりに会員一同が対面で集い、潰瘍の真の病態に迫る研究成果が発表されることを切に祈っております。会員の先生方から多くの楽しい演題の応募をお待ちしております。また、多くの皆様方の学会当日のご参加と熱いご議論も心よりお願い申し上げます。

2021年4月19日